パワハラ?に遭って
私が会社員の頃はパワハラなんて言葉はなかったけど、今思えばあれはパワハラなんだろうな。
部長は従順そうで楚々とした感じの女性社員がお気に入り。ボーリング大会でストライクを取って「おっしゃああ! 見たか、そこの後輩!」と拳を振り上げる私をかなり露骨に嫌っていた。
ある日、結婚が決まった事を伝えるため部長をフロアの隅に呼び出し、周りに聞こえないよう小声でその旨を伝えると、部長は「結婚決まったんか!じゃあ会社辞めるよな?!」とフロア一帯に聞こえる大声で言った。
フロア中の人がこちらへ振り向いたのがわかった。
ブチっ。生涯で一番キレた瞬間。
完全に気に入らん女子社員を退職に追い込もうとしてるやん。
「辞めませんけど!! 何が文句あるんですか!!!」
気がついたら部長の倍の大声で叫んでた。
ガタイがよくて皆が怖がる部長に、一人全力で噛み付いてた。
フロア中の人が固まった。
ふと我に帰ると、部長の逆襲が急に怖くなった。
が、その日を境に、部長は人が変わったように私に優しくなった。「結婚? ほんまめでたいなあ。休暇? 大丈夫やで。準備大変やろ?ゆっくり休みや〜」となどと猫なで声で言い出した。
部長は典型的な「言い返してこない奴にだけ強く出る」タイプの、卑怯なパワハラ野郎だったのだ。
職場を追われる事を阻止したこの一件は職場での私の転機となり、私の場合はこの一撃?で状況が好転したけれど、これは誰しもに薦められる事ではないだろうなと思う。
でも腹をくくった人にはやはり戦ってほしい。相手や周りの反応より何より「言ってやった!」という自信がついたし、何より痛快だった!