「カーネーション」感想②
主人公糸子の母、千代。
ふんわりした、ど天然な女性として描かれている。
大金持ちのお嬢様であるが、呉服屋の番頭として現れた善作と駆け落ちしたという。
鈍臭くて空気読めなくて、基本的には仲良くやっている姑にも若干疎んじられてる様子。
横暴な善作の「被害」を一番受けているらしい千代であるが、ある日「お姉ちゃんばかり新しい服を着て好きな事してるのズルい」と言ってきた糸子の妹、静子に対して、優しく、でもはっきりと言ったのだ。
「好きな事をするのは、側で見てるよりずっと大変な事なんよ」
素晴らしい台詞。
岸和田の庶民の街の商家では浮いた存在の千代であるが、「困った」「どうしよう」とぼやく事はあっても、彼女の口からは愚痴は一切出ない。
彼女もまた、好きな事を貫いた芯の強さを持った女性だった。
全く似てないようで、糸子はしっかり千代の血も受け継いでいる。
「糸子」は、父と母という「縦糸と横糸」でしっかり紡がれてる事を、回を追うごとに気付かされるのだった。