「笑点」木久扇さんの回答
今日見るともなしに「笑点」を見ていた。
途中から見たので正確なお題はわからないのだが、「この季節に思うこと」というようなテーマを、都々逸のようなリズムにのせて答える。
林家木久扇さんが当てられ、彼は「平和の大切さを思い返す」というような返答をした。
その時、ハッと思い出した。
去年だったか一昨年だったか、木久扇さんが報道番組に出た時、インタビューで戦争中の事を尋ねられ、答えていた事を。
「空襲警報が鳴るたび、当時8才9才ぐらいだった自分が、おばあちゃんの手を引いて逃げていた。おばあちゃんは速く走れないから素早く逃げられない。毎回物凄く怖かった。」
この話を聞いて、私は木久扇さんの恐怖を思って背筋が凍り、インタビュアーの夏目三久さんはこらえきれず涙を流した。
「笑点」は大喜利バラエティで、反戦を声高に叫ぶのは番組の主旨とは明らかに違うだろう。
そんな中で、大喜利の答えの中でちらっとその意思を伝えるのは、やはり彼が本当につらい思いをしたから、そしてもう誰にもあんなつらい思いをさせたくないから、ではないだろうか。
ふと思った。
あれだけ激しかった東京の空襲で、あれだけの被害があったのに、政府の要人が被害に遭ったという話は聞いた事がない。
庶民には「空襲に遭ったら逃げずに消火せよ」などという戯言を高圧的に言いながら、自分達は我先に頑丈な防空壕や地下室に逃げていたのだろう。
戦争を体験した人の高齢化に伴い、証言者もだんだん減っていく。
だからこそ木久扇さんの、大喜利の間接的な一言が貴重なメッセージで、受け手のこちら側が大切に心に留めていかねば、と、切に思う。
基本的人権や国民主権をないがしろにしようと目論む政治家がいるから、尚更。