故郷への固執
あるニュース番組を見ていた。
土砂崩れで自宅が全壊してしまった81歳の男性が、インタビューに答えて言った。
「またこの土地に家を建てようと思う。」
。。。
絶句した。
えっ? 土砂が片付けられたとはいえ、その土地が危険である事に変わりないよ?
80過ぎて新築て…ローン通らないよ?
まあ、お金はお持ちだとしても、お子さんはもう都会に出てるらしいのに、後々どうするの?
少し時間を経てから、つっこみが次々と頭に浮かぶ。
彼はきっと何十年もその場所に住んできたのだろう。
ひょっとしたら生まれた時からずっと住んでるのかもしれない。
そういう人にとって、見ず知らずの他の土地に住むという事は、土砂崩れの危険地帯に住むよりも恐怖なんだろうか。
東北で津波被害を受け、家を流されてしまった人が、生まれ故郷でもある、全く同じ場所に、また家を建てたというニュースも見たことがある。
その方も、件のご老人も、かなりつらい目に遭われたというのに…どういう事だろう?
このように故郷に固執する人を目の当たりにすると、妄信的に自分の生まれ育った地を愛する人達が少しうらやましくもなる。
故郷にずっといられる人は、故郷でずっと食べていけた恵まれた人でもある。
中学卒業後、泣きながら集団就職の汽車に乗った私の母のように、故郷にずっといたくてもいられない人は大勢いるのだから。
こういう強い愛着を持った人に、何を言っても無理かもしれないが、その土地に大きな危険があると証明された以上、やっぱり命を大切にし、他の土地に移る勇気を持ってほしい。
大きなお世話、を承知で、思う。
それにどんな土地も「住めば都」なんですよ(^^)