老母にかかる多額の医療費
一般的に年老いてくると病気になり、多額の医療費がかかる。
自己負担額は1割か2割だが、高額療養費制度があり、自己負担の上限は決まっている。
70歳を過ぎて収入もない、乳がん治療中の母は、だから毎月の自己負担は月2万数千円を超えない。
母に乳がんがわかった時すでに70歳を過ぎてたので、治療するか、緩和ケアにするか、判断は母に委ねられた。
あくまで一般的な話だそうだが、同じ病状でも80以上の人には基本治療はしないそうだ。体への負担があまりにも大きいから。
母は微妙なラインにいて、自分で選択することを迫られ、治療することにした。
無知な私は全く知らなかったが、治療にかかる医療費は莫大だった。
例えば初期の抗がん剤。ひょんなことから値段を知ったのだが、一回20万円強! もちろん一回で済むわけはなく、抗がん剤だけで100万以上かかるのだ。
が、母の負担は月2万数千円。
残りの負担は現役世代が背負うのだ。
こんなことしてたら、健康保険、破綻するに決まってる。
年老いて病気になり、やがて亡くなるのは自然の摂理。
老人になっても「死にたくない」という強い気持ちがあるのは理解できる。
だけど何百万かけて治療したとて、20代の体を取り戻せるわけではなく、死が少し先送りされるだけ。
子どもがいる私は、子ども世代の事を思わずにいられない。
このままでいいとは思えないけど、今のところ、誰も引導を渡せずにいる。
兄も私も、母に引導は渡せなかった。
しかしやはり、少しずつでも変えなくては。
目を背けずに考えていきたいと思う。