あらほうしブログ

好きなお笑いの事と日々の雑感を綴りたいと思ってます。

織田作之助を読み漁った日々

 

若い頃、無頼派と呼ばれる作家が好きだった。太宰治とか坂口安吾とか。

 

だけどその頃、なぜか織田作之助は読まなかった。たぶん単に出会わなかっただけだろうけど。

 

40近くなったある日、たまたま青空文庫で見つけた「夫婦善哉」を読んでから、織田作之助にどっぷりはまり、短編などを読み漁る日々が続いた。

 

なににそんなに惹かれたんだろう。

 

もちろん作品によっても魅力は違うけど、思い当たるのは、社会の底辺で一生懸命生きる庶民へのまなざしかなと思う。

 

そのまなざしは温かい、とは思うけど、惹かれた理由はそうではなく「同じ目線で、ありのまま」という感じがしたから。

 

登場人物に対して「もうちょっとこうしたら少しは暮らしが楽になるのに」という指摘も、作品の中で結構出てきたりするが、それができない登場人物たちを決して馬鹿にしていない。「しゃーないなあ」という苦笑いの織田作さんが思い浮かぶのだ。

 

この感覚は、彼自身が決して裕福ではない大阪の下町で生まれ育った事に由来してるんだろうか。

 

いずれにしても、この作家の生み出す作品をもっともっと読みたかったなと、今更ながら惜しい気持ちがする。